2010.09.30
永遠の0 百田尚樹
さて、久しぶりの読書だったんですが面白かったので感想を書きたいと思います。
まずはあらすじ。
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。
終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。
天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
ということで戦争を題材にしたお話です。
なんかもうその時点で卑怯な気はしないでもないんですが。
でも読んでいて泣いてしまった作品です。
色々と感想はあるのですが、まずは気になった点から。
この作者さんはもともと小説家ではない人だったんですよね。
そのため最初は文章が平易であっさりしすぎててやたら物足りなかったです。
戦争という題材を扱っているのだからもう少し情緒ある文章だったら良かったのに、と最初作中に入り込みにくい印象でした。
あと個人的に微妙だったのは戦争のお話に比べて、現代の登場人物たちの描写があまりにもテンプレートで掘り下げが浅いように感じたことです。
戦争の描写が悲惨なためにギャップが酷かったですね。
特に主人公の姉の慶子とジャーナリストの高山は極端すぎてしらけてしまいました。
昔話の途中で現代描写が入ったりするのは要らなかったかな。
主人公の司法試験はともかく、慶子の結婚云々はとってつけたような展開で蛇足にすら感じました。
また、これはフィクションなのである程度の偶然は気にもしないのですが、やくざの彼が妻を助けたのはあまりにも出来過ぎかなと感じてしまいました。
一応歴史をもとにしているので、一方的な賛美や批判ばかりの部分は意見の押し付けのように見えた部分もあります。
ここら辺は戦争について詳しい人は色々と引っかかる部分もあるかもしれませんね。
(私自身は知識不足もあり、どこまでが真実なのか気になった感じです)
内容についてですが、私はそんなに戦争に詳しくないしゼロ戦のこともあんまり詳しくありませんでした。
祖父も祖母も健在で戦争の話も聞いたことがありますが、2人とも当時はまだ学生で空襲はあっても実際に軍人として戦争の場に行ったことはない人たちです。
そのため、作中での老人たちのお話はとても興味深く面白かったですね。
真珠湾攻撃にガダルカナルでの戦い、神風特攻について、彼らが当時何を感じどう戦っていたのかがそれぞれの想いとともに語られる部分は引き込まれました。
今日一緒に戦い生活している人たちが明日にはいないかもしれないという日常や、ギリギリの状態でせまられる決断無念さなどが印象的でした。
実在の人物も出ているので、どこまでが事実かフィクションか分かっていない部分があるのですけどね。
自分も実際にその時代に生まれていたら、と色々と考えることの多いお話でした。
あとは主人公の祖父である宮部久蔵という人物が興味深かった。
現代の思想に近い人物でしたけど、結局多くの人の目から語られただけで彼の心中はまったく分からないままなんですよね。
どうして彼がここまで生きることに固執したのか断片的な情報から想像できても真実を知ることはできません。
特攻で死んでいく若者たちを送り出す中で彼がどんなに消耗していき、そして最後の命運を自分で選択したときに彼が何を思ったのか
あそこまで生きることに固執していた彼がその決断をしたことを考えるととても切なくなりました。
また、それが現在につながり真実がわかった展開は素直に驚きました。
あんなに行きたかった宮部さんは生きることが出来なかったけれど、その思いは確かに受け継がれて主人公に今こうして伝わることが出来た。
なんかそれだけで十分なんじゃないかなと思えてしまいました。
ここら辺の出来過ぎ感はご都合だと思う人もいるかもしれませんが、フィクションであるがために自分は許容範囲内でしたね。
伏線もしっかりしてたし、素直に良かったです。
戦争部分のお話については知っている人については目新しくはないのかもしれません。
ただ、この小説自体は読みやすい文章で戦争のことについてエンターテイメイントを含めつつ書かれている作品だなと思います。
私のように戦争についての知識があんまりない、若い人が読むには良い作品だなと思いました。
まずはあらすじ。
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。
終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。
天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
ということで戦争を題材にしたお話です。
なんかもうその時点で卑怯な気はしないでもないんですが。
でも読んでいて泣いてしまった作品です。
色々と感想はあるのですが、まずは気になった点から。
この作者さんはもともと小説家ではない人だったんですよね。
そのため最初は文章が平易であっさりしすぎててやたら物足りなかったです。
戦争という題材を扱っているのだからもう少し情緒ある文章だったら良かったのに、と最初作中に入り込みにくい印象でした。
あと個人的に微妙だったのは戦争のお話に比べて、現代の登場人物たちの描写があまりにもテンプレートで掘り下げが浅いように感じたことです。
戦争の描写が悲惨なためにギャップが酷かったですね。
特に主人公の姉の慶子とジャーナリストの高山は極端すぎてしらけてしまいました。
昔話の途中で現代描写が入ったりするのは要らなかったかな。
主人公の司法試験はともかく、慶子の結婚云々はとってつけたような展開で蛇足にすら感じました。
また、これはフィクションなのである程度の偶然は気にもしないのですが、やくざの彼が妻を助けたのはあまりにも出来過ぎかなと感じてしまいました。
一応歴史をもとにしているので、一方的な賛美や批判ばかりの部分は意見の押し付けのように見えた部分もあります。
ここら辺は戦争について詳しい人は色々と引っかかる部分もあるかもしれませんね。
(私自身は知識不足もあり、どこまでが真実なのか気になった感じです)
内容についてですが、私はそんなに戦争に詳しくないしゼロ戦のこともあんまり詳しくありませんでした。
祖父も祖母も健在で戦争の話も聞いたことがありますが、2人とも当時はまだ学生で空襲はあっても実際に軍人として戦争の場に行ったことはない人たちです。
そのため、作中での老人たちのお話はとても興味深く面白かったですね。
真珠湾攻撃にガダルカナルでの戦い、神風特攻について、彼らが当時何を感じどう戦っていたのかがそれぞれの想いとともに語られる部分は引き込まれました。
今日一緒に戦い生活している人たちが明日にはいないかもしれないという日常や、ギリギリの状態でせまられる決断無念さなどが印象的でした。
実在の人物も出ているので、どこまでが事実かフィクションか分かっていない部分があるのですけどね。
自分も実際にその時代に生まれていたら、と色々と考えることの多いお話でした。
あとは主人公の祖父である宮部久蔵という人物が興味深かった。
現代の思想に近い人物でしたけど、結局多くの人の目から語られただけで彼の心中はまったく分からないままなんですよね。
どうして彼がここまで生きることに固執したのか断片的な情報から想像できても真実を知ることはできません。
特攻で死んでいく若者たちを送り出す中で彼がどんなに消耗していき、そして最後の命運を自分で選択したときに彼が何を思ったのか
あそこまで生きることに固執していた彼がその決断をしたことを考えるととても切なくなりました。
また、それが現在につながり真実がわかった展開は素直に驚きました。
あんなに行きたかった宮部さんは生きることが出来なかったけれど、その思いは確かに受け継がれて主人公に今こうして伝わることが出来た。
なんかそれだけで十分なんじゃないかなと思えてしまいました。
ここら辺の出来過ぎ感はご都合だと思う人もいるかもしれませんが、フィクションであるがために自分は許容範囲内でしたね。
伏線もしっかりしてたし、素直に良かったです。
戦争部分のお話については知っている人については目新しくはないのかもしれません。
ただ、この小説自体は読みやすい文章で戦争のことについてエンターテイメイントを含めつつ書かれている作品だなと思います。
私のように戦争についての知識があんまりない、若い人が読むには良い作品だなと思いました。
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